ポスティングの活用 ─ マンションチラシとの違いとオフィスプロモーションでの可能性

オフィスリーシングにおける「古くて新しい」手法
デジタルプロモーションが主流となった今でも、ポスティングは有効なマーケティング手段として存在しています。
特に、周辺企業や地域密着でのアプローチが必要なオフィス不動産では、「直接手元に届く情報」は想像以上に強いインパクトを持ちます。
メールやWeb広告は一瞬で流れてしまいますが、紙のチラシは物理的に存在感を残し、社内で回覧されたり掲示されたりすることで、複数の意思決定者の目に触れるチャンスが広がります。
つまり、ポスティングは単なる“古い手法”ではなく、デジタルと組み合わせることで現代のリーシング戦略に組み込む価値が十分にあるのです。
不動産業界に一般的なポスティングチラシの特徴
住宅やマンション販売で広く使われてきた不動産チラシは、基本的に「エリアの広がり」と「価格訴求」を前面に押し出す作りが多いのが特徴です。
たとえば「○○駅徒歩5分!新築マンション○○万円〜」というコピーと、間取り図・周辺地図・価格帯の一覧が中心。ターゲットは一般消費者であり、瞬時に“お得感”や“生活利便性”を伝えることが目的とされています。
したがって、文字や情報が多くても「数値の比較」をしやすくする設計で十分機能してきました。しかし、この手法をそのままオフィス不動産に転用すると、ターゲットに響きにくいという問題が生じます。
オフィス不動産のポスティングで求められる視点
オフィス物件の入居検討は住宅購入と異なり、経営判断や人事・総務など複数部門が関与する“企業活動の一環”です。
したがって、ポスティングチラシに必要なのは「数字」よりも「働くイメージ」と「企業価値への貢献」を訴える設計です。
例えば、セットアップオフィスであればラウンジや会議室、ファミレスブースといった設備写真を大きく載せ、社員がどう利用できるかを視覚的に示すことが効果的です。
また、「駅徒歩3分」と書くだけでなく、駅からのルートをわかりやすい地図や写真で示し、利便性を直感的に伝える工夫も必要です。
つまり、住宅向けの「間取りと価格」中心ではなく、オフィス版チラシは“企業にとってのメリット”を整理して表現することが求められます。
不動産業界の制作者とオフィスプロモーション制作者の違い
一般的な不動産広告制作者は、住宅購入者や賃貸入居者に向けた「生活者視点」でチラシを作ります。情報量を増やし、スペックを一覧化し、価格訴求を強調することに長けています。
一方、オフィス不動産のポスティングチラシを手掛ける場合は、企業目線での意思決定を想定した“ビジネス文脈”の表現力が求められます。
単なる条件の羅列ではなく、「採用力強化につながる立地」「社員満足度を高める空間設計」「ブランド価値を高めるオフィスデザイン」といった切り口で情報を整理する必要があるのです。
この違いを理解せずに住宅チラシ的な発想で作ると、企業の決裁者には響かない“的外れな資料”になってしまいます。
デジタルとの連動で相乗効果を高める
ポスティングは単体で完結させるのではなく、Webやメールマーケティングと連動させることで効果が倍増します。
例えば、チラシにQRコードを設置してLP(ランディングページ)やVRツアーに誘導すれば、紙媒体で関心を引き、デジタルで深い情報を提供する二段構えが可能です。
また、配布エリアを限定し、反応データを収集して次の配布戦略に生かすなど、アナログの強みとデジタルの分析力を組み合わせれば、リーシング活動全体を効率化できます。
オフィス不動産におけるポスティングは、単なる告知手段ではなく、デジタル施策へとつなぐ“入口”として機能させることが理想です。
まとめ
ポスティングは住宅不動産で培われた伝統的な手法ですが、そのままオフィス不動産に持ち込むと効果を発揮しづらいという課題があります。
住宅向けは「生活者への価格訴求」、オフィス向けは「企業意思決定者への価値訴求」と目的が異なるため、チラシ制作の思想そのものを切り替える必要があります。
オフィスプロモーションとしてのポスティングは、働くイメージやブランド形成を伝えることを軸に設計し、さらにデジタル施策と連携させることで、空室リスクを抑え、資産価値を高める有効な武器となるのです。


