オーナーが見落としがちな“顧客視点” ─ 入居検討企業はどこで何を見ているのか?

オーナーとテナントの視点ギャップ
オフィス不動産のリーシングにおいて、オーナーは「条件を提示すれば仲介業者が動いてくれる」という考えに偏りがちです。
しかし、実際にオフィスを選ぶテナント企業は、条件や立地だけでなく、日々の働き方や企業ブランディングにまで直結する要素を基準にしています。
この“視点のギャップ”を理解しないままでは、せっかくの物件が候補から外れてしまうことも少なくありません。顧客視点とはつまり「入居検討企業はどの段階で、どんな情報に触れ、どう判断しているか」を把握することです。
これを踏まえて情報発信を最適化することが、空室リスクを抑える鍵となります。
顧客が最初に触れる情報:アクセスと立地の直感
入居検討企業が最初に確認するのは、立地とアクセスです。社員の通勤利便性や、取引先とのアクセスのしやすさはオフィス選定の出発点となります。
ここで重要なのは「駅徒歩何分」だけではなく、実際の動線や周辺環境の情報です。Googleマップの無断流用ではなく、オリジナルの動線マップや駅からの所要時間を示したビジュアルを提示することで、企業担当者はより具体的に通勤や来客のイメージを描けます。
オーナーが軽視しがちな部分ですが、初期段階での候補入りに大きく影響するため、必ず強調すべき要素です。
図面よりも「働く姿」が見えるかどうか
次に企業が注目するのは、物件内部で「自社の社員が働く姿を想像できるかどうか」です。従来の図面やマイソクでは、平面的な情報にとどまり、社員が会議をしている姿やリフレッシュしている様子までは伝わりません。
近年は写真、完成パース、さらにはVRやウォークスルー動画を通じて「体験的に空間を理解できる」ことが求められています。テレカンブースやファミレスブース、リフレッシュスペースといったエリアを映像で見せれば、単なる面積比較ではなく「働きやすさ」という観点で物件の魅力を伝えられます。
共用部と周辺環境の情報が与える安心感
区画内部だけでなく、共用部や周辺環境も企業が必ず確認するポイントです。例えば、会議室やラウンジ、カフェスペースといった共用部が充実していれば、社員の利用体験や来客対応においてプラスに働きます。
また、周辺に飲食店や商業施設があるかどうかも、社員満足度や採用活動に直結します。オーナーが「当たり前」と感じている環境でも、テナント企業にとっては入居を決める大きな要素です。
地図や動画でこれらを可視化し、働く日常を想像できる情報発信を行うことが、顧客視点を踏まえたプロモーションといえます。
顧客はどこで情報を集めているのか
入居検討企業は、仲介業者からの紹介資料だけでなく、Web検索やオフィス情報サイト、自社の社員ネットワークを通じて情報を得ています。
また、企業担当者自身がGoogleで検索して自社サイトやLPにアクセスするケースも少なくありません。
つまり、オーナーが自社サイトやLPを整備しなければ「直接見てもらう機会」を逃してしまうのです。さらに、仲介業者に渡す資料は「エンドにもそのまま見せられる」クオリティにしておくことが不可欠です。
これにより、仲介経由でもオーナーの意図するメッセージがブレずに伝わり、すべての仲介で均質に提案されることが可能になります。
まとめ
オーナーが見落としがちな“顧客視点”とは、単なる条件比較ではなく「働く体験」「周辺環境」「情報発信の一貫性」にあります。
入居検討企業はアクセス動線から始まり、内部の使い勝手や共用部の充実度、そしてエリアの魅力までを総合的に判断しています。
さらに、その情報源は仲介業者だけでなく、Web検索や自社社員の口コミまで多岐にわたります。
オーナーが自ら主体的に情報を整理し、仲介・自社サイト・資料・LPを通じて一貫性のある情報を発信することこそが、選ばれる物件になるための条件です。


